日本
監督:猪股隆一
原作:桑原眞二,大野一興『山古志村のマリと三匹の子犬』(文春e-book)
<主なキャスト>
石川優一:船越英一郎
長谷川冴子:松本明子
石川亮太:広田亮平
石川彩:佐々木麻緒
安田啓一:高嶋政伸
関根博美:小林麻央
児島忠志:小野武彦
石川優造:宇津井健
……etc
2007年12月に劇場公開された。2004年10月23日に発生した新潟県中越地震で道路が寸断され孤立した新潟県山古志村(現・長岡市)で、被災地に取り残された母犬マリと生まれたばかりの3匹の子犬が16日に渡って生き延び救出された事実を基にした作品となっている。原作は、2005年2月に文藝春秋から出版された『山古志村のマリと三匹の子犬』。迫力ある震災の場面はゴジラ映画のスタッフが伝統的なミニチュアを用いた手法で撮影したものだという。映画のマリのモデルとなったマリは、救助された後、長岡市で家族と一緒に暮らし、2016年6月に死去したという。
平成16年(2004年)10月23日午後5時56分。新潟県北魚沼郡川口町(現:長岡市)の直下を震源とするマグニチュード6.8の地震が発生した。震源の深さ13キロの直下型の地震が発生した。震源震源が浅かったことから直上の川口町では最大震度7を観測した。1996年の震度改正によって震度計による観測が始まった1996年4月以降、震度7が観測されたのは初めてだった。気象庁はこの地震を「平成16年(2004年)新潟県中越地震」と命名した。小千谷市や現在の長岡市で震度6強を観測した他、北陸から関東、東北にかけて広い範囲で震度3以上の強い揺れを観測した。
震災直後に新潟県地震災害対策本部が設置され、発生して4分後の18時には首相官邸に緊急対策室が設置された。地元消防、警察他、関係各機関もすぐに救助活動に奔走した。19時20分には緊急消防援助隊派遣要請が、20時05分に自衛隊に災害派遣の要請が出された。土砂崩れなどによって道路が寸断されて孤立した山古志村で全村民の避難が決定し、自衛隊のヘリコプターによって救助されたことや、長岡市妙見町で土砂崩れに巻き込まれた親子3人が乗った車から92時間後に東京消防庁のハイパーレスキューによって救助されたことなどは大きく報じられたので記憶に残っている方も多いだろう。
本震後 5日間にマグニチュード6以上の地震を 4回観測するなど活発な余震活動を伴い、群発地震的な様相を示したのも、この地震の特徴であった。また、台風などによる度重なる降雨によって地盤が緩んでいたことも災いして大規模な土砂崩れや地滑り、道路の崩壊、などによって6,000ヶ所のまた本震発生時に運行中だった上越新幹線で日本の新幹線の歴史上初めての脱線事故が発生した。上越新幹線は運行再開まで2ヶ月の時間を要した。この地震により死者68人、負傷者4805人が発生し、一時10万人以上が避難した。地震の直接の死者は16名で、52名は避難時の疲労やショック・病状悪化、阪神大震災の時にも問題になったエコノミー症候群など、災害関連死であった。住家被害は全壊が3,175棟、半壊13,810棟、一部破損104、619棟と甚大な被害が生じた。豪雪地帯の北陸の地震であったことから、震災での倒壊は免れてもその後の冬の雪の重みで潰れた家屋も多かった。
平成の大合併が推し進められていた2000年代初め。闘牛で有名な新潟県山古志村も、じきに隣接する長岡市への編入合併することが決まっていた。石川家は山古志村の役場に勤める雄一とその父の優造、小学校中学年の息子・亮太と未就学児の娘・彩の兄妹の四人家族。子供たちの母親はすでに他界しており、雄一の義妹にあたる長谷川冴子が一家の手伝いに来ていた。ある日、亮太と彩は捨てられた柴犬の子犬を拾う。雄一の犬嫌いを知っていた兄妹は、優造の助けを借りてこっそりと飼い始めた。しかし、すぐに雄一にばれて叱られてしまう。捨てられた子犬と母親の記憶の無い自分と重ね合わせていた彩は、子犬を抱えて飛び出してしまう。そんな彩に根負けした雄一は子犬を飼うことを了承する。子犬はマリと名付けられた。マリは成長し、翌年には3匹の子犬を産んで、石川家はさらににぎやかになる。
2004年10月23日、山古志村をマグニチュード6.8の地震が襲う。仕事や学校行事で雄一と亮太は家を離れていて難を逃れたが、家に残っていた彩と優造は倒壊した家の下敷きになってしまう。家の外にいたマリは、倒壊した中に入っていき彩と優造を励まし、助けようとするがマリの力ではどうにもならない。朝になり村長は山古志村の全村避難を決断する。自衛隊のヘリが被災者の救助にあたる中、マリは自衛隊員を誘導し、彩と優造は救助された。負傷した優造は上空で待機するヘリに収容され、次は彩の番になった。彩はマリと子犬たちも連れて行ってほしいと懇願するが、優造の怪我は一刻を争うものだった。やむを得ず、マリたちはその場に置き去りにされてしまう。彩と優造を乗せたヘリが動き始めると、マリはその後を走ってついて来るが、彩はマリを呼ぶことしかできなかった。
長岡市の避難所に辿り着いた彩は、雄一と再会する。優造も何とか一命を取り留めることができた。彩は置き去りにしたマリのことが心配でならず元気がなかった。一方、残されたマリは人のいなくなった村の中で、わずかな食べ物を探し、カラスなどの敵から子犬を守りながら、懸命に生き延びていた。マリは亮太と彩と一緒に遊んだ原っぱを度々訪れ、主人の帰りを待っていた。そんな中、嵐が迫っていることが避難所のテレビでも報じられる。マリを心配する彩を見かねた亮太は、一緒に立入禁止になっている山古志村に山道を通って向かう。しかし、その中で雨に打たれた彩は熱を出して動けなくなってしまう。避難所では雄一が冴子から亮太と彩がいなくなっていると聞かされた。山古志村に向かったと気付いた雄一は後を追い、二人を助けて避難所に戻る。
それからしばらくして余震が収まり、各家から一人ずつではあったが山古志村に一時帰宅が行われることになった。雄一は役場の責任者として向かい、石川家からは彩と亮太が向かうことに。山古志村は廃墟と化していた。彩は全壊した自宅の周りをマリを呼んで探すがマリの姿はない。やがて彩はマリと遊んだ思い出の原っぱに向かう。
2004年の新潟県中越地震――新潟県では新潟県中越大震災と呼称しているそうであるが――の中であった実話を基に、天災によって生まれ育った故郷がズタズタにされる中、家族の絆を巡る感動作品。実話がもとになってはいるが多分にフィクションが含まれており、亮太と彩は実在の人物がモデルではないらしい。フィクションだと分かっていても、彩とマリの交流や、彼らを見守る大人たちの姿はじ~んと来るものがある。正直脚色が過剰で泣かせに来すぎているだろうと思わないではなかったが、やっぱり、子供と動物には敵わないなぁ。
平成12年(2000年)の三宅島噴火とそれに伴う全島民避難によって離れ離れになる飼い主と飼い犬の物語。