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ヤマトタケル(1994年)





DATE


日本

監督 : 大河原孝夫


<主なキャスト>


ヤマトタケル(オウス) : 高嶋政宏

クマソタケル : 藤岡弘

ケイコウ : 篠田三郎

セイリュウ : 石橋雅史

ゲンブ : ベンガル

ツクヨミ(八岐の大蛇) : 阿部寛

ツキノワ : 麿赤兒

オトタチバナ : 沢口靖子

            ……etc


目次
『ヤマトタケル(1994年)』の作品解説
キーワード『日本武尊/倭建命(景行天皇12年〜景行天皇41年)』
『ヤマトタケル(1994年)』のストーリー
『ヤマトタケル(1994年)』の感想



【作品解説】

 1994年7月に公開された特撮映画。日本神話で最も有名な英雄、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の物語をベースにした「超時空SFアドベンチャー」と銘打たれた、ファンタジー要素が詰まった作品となっている。当時、正月映画としてゴジラシリーズ(平成VSシリーズ)が好評を博しており、別路線で夏興行の特撮映画としてシリーズ化が検討されていたという。当初は3部作が検討されており、配給収入8億円と邦画としては堅調な成績を残したが、平成VSシリーズには遠く及ばない成績だったためか、続編は制作されなかった。



【日本武尊/倭建命(景行天皇12年〜景行天皇41年)】

 ヤマトタケルノミコトは日本古代史にその名を残す英雄である。1世紀から2世紀ごろの人物で第12代景行天皇の皇子・第14代仲哀天皇の父とされている。古事記では倭建命、日本書紀では日本武尊と記されている。本名はオウスノミコト。行き違いから兄を殺害してしまい、その剛力と凶暴性を父に恐れられ、疎まれ西国のクマソ討伐に向かわされる。クマソの長、クマソタケルを討ち果たして征伐したオウスは、クマソタケルからヤマトタケルノミコトの名を送られる。


 西国への遠征を終えたヤマトタケルには疲れた体を休める間もなく、東国の蛮族――天皇家の支配に屈さない豪族たちを征伐するために戦い続ける。時に「父は自らが死ねばよいとお考えなのか」と涙し、時にヤマトタケルを救うために妻は自らを犠牲にし――。辛い辛い旅路を乗り越え、故郷へと戻る途中、近江で神の怒りに遭い最後は故郷を思いながら死んでいく。死したヤマトタケルの魂は白鳥となって西へと飛び去っていく。古事記と日本書紀では物語の大筋は同じだが、日本書紀では兄殺しの逸話は出てこない。天皇への忠誠を誓い、天皇からの信頼も厚い、どちらかといえば栄光に彩られた日本書紀と、父に疎まれ、悲劇性が強く描かれる古事記のヤマトタケルと、そのキャラクター性に相違がある。



【ストーリー】

 時の大王に小碓(オウス)と大碓(オオウス)の双子の兄弟が生まれたところから物語は始まる。ヤマトの国の祈祷師、ツキノワの進言により、大王は小碓を殺すように命じるものの、アマノシラトリによって救われ、大王の妹の手であるヤマトヒメの手で育てられる。ある日不思議な洞窟の中に迷いこんだオウスは、そこで「お前はやがて三つの光を手にいれる」という謎の言葉を聞くと共に、緑色の勾玉を手に入れた。その後、日代の宮に上がることを許されるが、不思議な力を発現し、ツキノワをはじき飛ばしてしまう。さらに、母であるイナヒヒメを呪い殺したと兄オオウスに責め立てられたオウスはそのいざこざでオオウスを殺してしまう。


 このことが原因で、クマソ討伐の任を与えられたオウスは、その道中オトタチバナという美しくしも不思議な術を使う巫女と出会い、道中を共にするようになった。そして、ついにクマソの雄クマソタケルを打ち滅ぼしたオウス。クマソタケルは、オウスの勇気を称えてヤマトタケルと呼ぶ。ヤマトに戻ったヤマトタケルには新たな戦いが待っていた。かつて天照大神と争って封印された神ツクヨミが復活しようとしているというのだ……。


【感想】

 日本神話を題材としながら、SF要素を組み込んだ野心的な作品、だと思えば、少しは納得できる映画だろうか……と思いながら見ていた作品だった。クマソタケルを倒すあたりまでは、古代日本神話ファンタジー的な趣はあったものの、後半以降は目から光線を放つツクヨミに、最後には大怪獣対巨大ロボット。TVゲームのようなノリのストーリーやキャラクターで、好む人は好めるだろうなと感じたが、個人的には初めて見たのが20代半ばになってからで、見た頃にはTVゲームから離れていたからか、どんどん歴史ファンタジーから離れていく展開に正直脱力した。一つ一つの設定は面白く感じるのだが、全体としてみると「何だったんだろう」と首をひねってしまった。もっとも、日本神話を描いてほしいと思ってみてみたら、怪獣特撮映画だった、というだけで、自分が思っているのは八百屋に行って魚が欲しいと言っているようなものなのだろうが。