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エクスカリバー(1981年)




DATE


EXCALIBUR/イギリス

監督 : ジョン・プアマン

原作 : トーマス・マロニー『アーサー王の死』


<主なキャスト>


アーサー王 : ナイジェル・ネリー

モーガナ : ヘレン・ミレン

ランスロット : ニコラス・クレイ

グエネビア : シェリー・ルンギ

バーシバル : ポール・ジェフリー

マーリン : ニコル・ウィリアムソン

                ……etc


目次
『エクスカリバー(1981年)』の作品解説
キーワード『アーサー王の死(Le Morte d'Arthur)』
『エクスカリバー(1981年)』のストーリー
『エクスカリバー(1981年)』の感想


【作品解説】

 日本では1981年10月に劇場公開された、アメリカ・イギリス制作の映画。。中世にサー・トーマス・マロニーによってまとめられた「アーサー王の死」を基にした冒険ファンタジー。



【アーサー王の死(Le Morte d'Arthur)】

 アーサー王はプリトン人(前ローマ時代にプリテン島に先住していたケルト系の土着民族)とキリスト教徒の英雄であり、数多くの騎士道物語の中心となり源泉となっている。5世紀後半から6世紀前半頃、プリトン人を率いてサクソン人の侵攻を退けたというアーサー王が、実在の人物であったか否かは未だ結論を見ない。紀元800年ごろの歴史家ネンニウスはアーサー王の存在を肯定し、サクソン人の侵攻を12回にわたって退けたと伝えている。しかし、ネンニウスより古い時代の歴史家ギルダスは、アーサー王について記していないという。

 しかし、ギルダスが記した「ブリトン人の没落(De Excido Britanniae)」に登場するベイドン山の戦いにはプリトン人側の指揮官の名が記されておらず、彼こそがアーサー王ではないかという指摘もある。アーサー王は実在した人物であったが王ではなく、優れた将軍であったのが物語作家による創作や民間伝承を吸収していき、プリトン人の理想的な守護者としての性格や名声を獲得していったのではないかと唱える者もいる。逆に、アーサー王は民間伝承の中にのみ生きた全くの架空の英雄であるという説も根強い。

 プリトン人の英雄、アーサー王の生涯を初めて形にしたのは12世紀にウェールズ人ジェフリー・オブ・モンマスが書いた『ブリタニア列王史』であったという。歴史書の体裁は取りつつも、荒唐無稽な内容が多いとされるこの『ブリタニア列王史』によって、今日に続くアーサー王のキャラクターが確立された。

 中世アーサー王文学の集大成と言えるのが15世紀後半にウェールズ人のサー・トーマス・マロニーによって書かれた「アーサー王の死」であった。アーサーの誕生、アーサーが王となり、王宮キャメロットを築き、そこに集った騎士たちの冒険やロマンス、聖杯探索。王妃グィネヴィアと騎士ランスロットの赦されざる恋とそこから始まる王国の混乱・内戦。そしてアーサー王の死。その長大な物語を1450年代の初めごろに書き始め、1470年頃に書き上げたという。トーマス・マロニーが1471年に没した後の1485年、ウィリアム・キャクストンによって出版された。



【ストーリー】

 舞台は中世のイングランド。血で血を洗う戦乱の時代。諸侯乱立の中、魔法使いマリーンの力を借りたウーサーは聖剣エクスカリバーを手に入れ、混乱に終止符を打とうとしていた。強敵コンウォールと和睦したウーサーだったが、その妻に横恋慕したマリーンに頼み込み一度だけの関係を持った。しかし、その時、マリーンはウーサーに一つの条件を出す。ウーサーを見限ったマリーンは、ウーサーがコンウォールを滅ぼし王国を統一すると、相手の女に生ませた子、アーサーを連れてどこかへと姿を消した。ウーサーはコンウォールのかつての部下たちによって命を落とし、その死の間際にエクスカリバーを封印した。

 それから時間は過ぎ、エクスカリバーの封印が解かれる日が来た。封印を解いたのはウーサーの子でマリーンに育てられ、立派に成長したアーサーだった。エクスカリバーの加護をうけてイングランドの王となったアーサーは、グエネビアを妻に迎え、放浪の騎士ランスロットなど優れた騎士たちの力を借りてイングランドに平和をもたらした。彼らとの間に上下の関係はない。円卓を作り、そのことを確かめ合った。アーサーが建てた王城キャメロットは平和の象徴だった。しかし、コンウォールの娘でアーサーの畏怖姉にあたる魔女モーガナの暗躍によってマリーンは封印されてしまう。さらに王妃グエネビアとランスロットの間に芽生えた愛が、アーサー王を絶望の淵に追いやり、イングランドと円卓の騎士の運命を狂わせていく。


【感想】

 アーサー王伝説を題材として映像化作品の中では出来もいい作品だと思うが、決定版と呼ぶには少し弱い。30年近くも昔の作品なのでやや――かなり古さを感じてしまうのは仕方ないが、アーサー王物語に興味はあれどどこから手を付けたらいいか分からないという方には、いい作品ではないかと思う。