マルコ・ポーロ〜東方見聞録〜(2007年)
DATE
Marco Polo/アメリカ
監督 :ケヴィン・コナー
<主なキャスト>
イアン・サマーハルダー
ブライアン・デネヒー
B・D・ウォン
ケイ・トン・リム
……etc
【作品解説】
東方見聞録を著したことで知られマルコ・ポーロの物語を描いたアメリカのテレビドラマ。それなりに制作費もかかっていそうな、わりと力の入ったドラマに見るが、アメリカのドラマっぽい大味な作品。いくらなんでも、中国王朝の皇帝を西洋人を演じているのは如何なものか。
【マルコ・ポーロ(1254年〜1324年)】
マルコ・ポーロは『東方見聞録』を著した人物として知られる。マルコ・ポーロはモンゴルが支配する中国にわたり、皇帝フビライに17年間仕えて、ヴェネツィアに帰国した。東方見聞録は、『世界の記録』という名前や『百万』という写本名でも知られ、ヨーロッパにアジアに対する大きな関心を呼び起こさせ、その後の大航海時代にも大きな影響を与えた。しかし、その内容が、あまりにも当時の常識を超えるものだったため、ほら吹き扱いされた。
中国側の資料にマルコ・ポーロや、マルコ・ポーロに相当する人物の記述がないことが、マルコ・ポーロの業績、それどころか、マルコ・ポーロの存在自体に疑問を投げかける要因にもなっている。しかし、その内容にはフビライの近くにいた人間しか知りえないような情報も交じっており、この当時、帝国各地へ訪れていたヴェネツィア商人の話を、マルコ・ポーロという人物に仮託してまとめたものであるという説もある。東方見聞録では、東西に伸びる元の交通路はとても安全に整備されいるさまが紹介されいいる。その交通路を通り、ヴェネツィアの商人や西欧人が帝国各地へ数多く訪れていたことが記録に残っている。
東方見聞録によれば1271年に、父のニコロ・ポーロ、叔父のマテオ・ポーロらとヴェネツィアを発った。この年に、モンゴル帝国は中国の王朝に倣い国号を大元と改めた。中国の王朝では正式の号を一字で呼ぶ慣例に従い、このモンゴル帝国も単に「元」と呼ばれる。マルコたちは1275年に元に至り、フビライ・ハンに謁見することが出来た。それから17年間フビライ・ハンに仕え、3年間揚州の行政官を務めるなど重用された。1290年に、帝国内のイル・ハン国の使節団が帰国するのに随行し、南中国の泉州を抜け、ペルシア湾のホムルスへと向かった。ホムルスで使節団と別れ、ヴェネツィアへ向かい、帰国した。
その後、ジェノヴァとの戦争に参加したマルコ・ポーロは1298年に捕虜になり、同じ獄中で知り合ったルスティケロに東方見聞録を口述した。東方見聞録はヨーロッパでは、一種の空想小説として受け入れられ、マルコは『百万のマルコ殿』と揶揄された。そのあだ名の理由は「アジアから持ち帰った財宝によって百万長者になったから」など諸説あるようがが、個人的には「モンゴル帝国の威容を語るのに、事あるごとに百万、百万と連呼したから」という説を支持したいと思っている。当時、1つの都市人口は約3万人という西洋にあって、元の繁栄ぶりはとても信じられなかったことだろう。
マルコ・ポーロは日本を黄金の国ジパングとして西洋に伝えた人物としても知られる。マルコ・ポーロ自身は日本へ来たことはなかったが、噂話として、ジパングの無尽蔵な富を西洋に伝え、大航海時代にはジパングを目指して冒険者たちが海に乗り出した。
【ストーリー】
物語は、マルコ・ポーロの叔父と父がが元から戻ってくる所から始まる。商人の2人は再び元へ向かうと言う。好奇心旺盛な17歳の青年マルコは、彼らについて広大な帝国へ向かうことを決心する。厳しい道のりを超えて元へたどり着いたマルコは、皇帝フビライに謁見することになる。気に入られ、側近としてとりたてられたマルコは、皇帝の目となり、未開の地を巡る旅に出るように命じられる。
西洋の都市とはスケールが違う元の国に驚嘆しながら、国中をめぐり様々な珍しい品々や現地に行かなければ分からない話などを持ち帰る。外国人でありながら皇帝の寵愛を受けるマルコは、周囲の嫉妬を受けることもあるが、生来の楽天的な性格もあって、王宮の生活を楽しんでいた。しかし、外国人を重用したのでは色々不都合があるとして、マルコの名は一切の史料には残されなかった。ところが、マルコが愛してしまった女が配下の国の王に嫁がされることを知ったため、彼女を連れてヴェネツィアへ戻ることを決意する。
【感想】
『東方見聞録』で知られるマルコ・ポーロの壮大な物語。正直に言って、あまり期待せずに見た作品だったが、見てみたらなかなか、歴史上最大の帝国である元(モンゴル帝国)が再現された重厚な作品に仕上がっていると感じた。ただ、最後のアクションシーンは少々いただけないかなと思わないではない。せっかくの歴史大作がいきなりカンフー映画になってしまうのは個人的にはちょっと……。
どこまで事実を踏まえているのか分からないが、TVムービーとして見たからか、かなりいい作品だったと思う。コロンブスやそのほかの冒険者の動機となった『東方見聞録』を書いた人物だが、あまりテーマになることもない人のように思うので、一見の価値はある作品だと思う。