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決算!忠臣蔵(2019年)





DATE


日本

監督 : 中村義洋

原作:山本博文『「忠臣蔵」の決算書


<主なキャスト>


大石内蔵助:堤真一

矢頭長助:岡村隆史

大高源五:濱田岳

不破数右衛門:横山裕

菅谷半之丞:妻夫木聡

堀部安兵衛:荒川良々

大石理玖:竹内結子

瑤泉院:石原さとみ

浅野内匠頭:阿部サダヲ

          ……etc


目次
『決算!忠臣蔵(2019年)』の作品解説
キーワード『預置候金銀請払帳』
『決算!忠臣蔵(2019年)』のストーリー
『決算!忠臣蔵(2019年)』の感想


【作品解説】

 主君の遺恨を晴らすべく討ち入りを果たした忠臣蔵の物語を"予算"という側面から描いた作品。新潮新書から刊行された東京大学史料編纂所教授・山本博文氏の『「忠臣蔵」の決算書』を原作に、豪華俳優陣と吉本興業による痛快時代劇エンタテインメント。




【預置候金銀請払帳】

 元禄14年3月14日(1701年4月21日)、江戸城では朝廷からの使者を迎えていた。饗応役の赤穂藩藩主・浅野内匠頭が、指南役の吉良上野介に松の廊下で遺恨を口にして斬りつけた。朝廷からの使者を迎える大事な日に、江戸城内で刃傷沙汰を起こした浅野内匠頭は即日切腹を申し渡された。赤穂藩は取り潰しとなった。1年10か月後の元禄15年12月14日(1703年1月30日)に赤穂藩の元家老・大石内蔵助を先頭に浪人47人が吉良邸へ討ち入りし、主君の無念を晴らした。一連の事件は元禄赤穂事件と呼ばれ、事件をもとにした人形浄瑠璃や歌舞伎の演目『仮名手本忠臣蔵』をきっかけに忠臣蔵と呼ばれるようになる。


 大石内蔵助は藩が取り潰しになり赤穂城を幕府に明け渡してから、討ち入るまでの金銭の出納をとして詳細な記録に残していた。その中には御家再興に向けた政治工作費や浅野内匠頭の仏事に関わる費用も含まれる。これは『預置候金銀請払帳』と呼ばれ、単に金銭の動きが分かるだけではなく、江戸と上方を行き来していた旧藩士の動きや、苦しい生活の模様を教えてくれる元禄赤穂事件を研究する第一級の史料となっている。討ち入りにかかった費用は697両。現在の価値で約8300万強であるという。この金の動きを探ることで、大石内蔵助が御家再興から討ち入りへと決意が傾いていく心情などを知ることができるという。また士官の口をなくした侍の悲惨な生活など当時の世情をも教えてくれる、江戸時代研究の重大な資料である。大石が残したリストは他にもあり、討ち入り前に瑤泉院(浅野内匠頭の妻・阿久里)に委ねられたが、その後散逸してしまった。現在、預置候金銀請払帳の原本は箱根神社に所蔵されている。



【ストーリー】

 時は江戸時代。元禄の時代。赤穂藩藩主の浅野内匠頭は、江戸城内で朝廷や公家関係の儀式典礼を司る役職にある高家の吉良上野介に斬りかかるという刃傷沙汰を起こした。大名火消しとして活躍し、正義感の強かった浅野内匠頭が、賄賂大好きの吉良上野介の態度に憤慨し、ことに及んだのだった。浅野内匠頭は即日切腹。吉良にはお咎めなし。赤穂藩は取り潰しという一方的で厳しい裁定であった。そこから、赤穂藩藩士の戦いが始まった。


 赤穂城を受け取るために、幕府からの使者が訪れることになるなか、城内では、幕府に対して城に籠って一戦交えるべきと番方(警備や警護、軍事関係を行う武士)は息まき、そんな番方を城の明け渡しにかかる費用や領民に支払う金、藩士の割賦金(退職金)などの算出に追われる矢頭長助たち役方(行政や経済関係を行う武士)は冷ややかな目で見ている。その中で、番方と役方の板挟みになり、親戚筋からは穏便に済ませるようにと圧力をかけられる大石内蔵助は、最終的には御家再興を目指し、城を素直に明け渡す道を選ぶ。


 長助たちの力を借りながら、何とか残務整理を終えた大石だったが、一部の元藩士が仇討ちを主張して勝手な行動に出るのをなだめたり、御家再興の工作のために金を用意したり、浅野内匠頭の法事や墓のことにも金がかかる。何とか確保した金はどんどん目減りしていく。お役を辞した吉良は本所の邸宅に引っ込んでしまい、もはやこれ以上吉良に刃傷沙汰での沙汰が下る見込みはなくなった。世間は赤穂浪士がいつ吉良邸へ討ち入り、主君の仇を討つのかと盛り上がっていた。家族に累が及ぶのを防ぐために妻の理玖と離縁した大石は、御家再興の望みが絶たれてなお、討ち入りを迷っていた。しかし、最後の決断をさせる辛い出来事が大石の身に降りかかる。



【感想】

 忠臣蔵は様々な切り口から様々な作品が制作されているが、討ち入りというのがここまで"お金"がかかる事業だということを前面に押し出した作品はなかったと思う。吉本興業のタレントが多く出ており、金銭バラエティっぽい感じもする。忠臣蔵のクライマックスである討ち入りや吉良上野介の最期が描かれなかったので忠臣蔵を題材とした作品としてはどうなのかと思うし、重厚な時代劇を期待するとがっかりするだろうが、時代劇コメディとしてなら楽しめる作品だったと思う。番方と役方の意識の違いや江戸の元赤穂藩士と西国に散った元赤穂藩士との空気感の違いなどが、金銭をめぐるやり取りで露になっていくのが面白い。