ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀(2011年)
DATE
HINDENBURG/ドイツ
監督 : フィリップ・カデルバッハ
<主なキャスト>
マーテン・クルーガー : マキシミリアン・ジモニシェック
ジェニファー・ヴァンザント : ローレン・リー・スミス
ヘレン・ヴァンザント : グレタ・スカッキ
エドワード・ヴァンザント : ステイシー・キーチ
アルフレート : ヒンネルク・シェーネマン
フリッツ・リッテンベルク : アンドレーアス・ピーチュマン
……etc
【作品解説】
1937年に起こった飛行船ヒンデンブルグ号の事故が政治的陰謀によって仕掛けられた爆弾によるものだったという設定のもと、爆破阻止に奔走する主人公と首謀者の娘とのラブロマンスを描いた、サスペンス作品。もともとは180分間のテレビドラマであり、その後、110分間に編集され、日本でも2013年2月に劇場公開された。
【ヒンデンブルグ号事故(1937年)】
1937年5月6日19時25分。。ドイツの硬式飛行船・LZ129ヒンデンブルク号は5月3日にドイツ・フランクフルトを飛び立ち、大西洋を横断して、向かい風の影響やの雷雨の影響があり予定より12時間遅れてアメリカ合衆国ニュージャージー州レイクハースト海軍飛行場に着陸しようとしていた。しかし、尾翼付近から突如、爆発・炎上した。瞬く間に炎に包まれたヒンデンブルグ号は、爆発からわずか30〜40秒ほどで地上へ落ちた。この事故によって、乗員乗客97名のうち35名と地上の作業員1名が死亡する大惨事となった。この事故によって、大型飛行船の安全性に疑問が持たれることになり、大型飛行船が建造されなくなる契機となった。
当時のドイツはナチスが政権を握っており、アメリカはドイツを警戒しヘリウムガスを禁輸していた。そのため、ヒンデンブルグ号は水素ガスを浮力に利用しており、事故当時は水素ガスの危険性が大きく取りざたされた。ヒンデンブルグ号を建造したツェッペリン社は原因の公表を避けたが、事故直後の実験によって、原因が外皮にあることを掴んでいたという。公表されなかった理由は、保険の関係であったとかナチスからの圧力があったなどと言われている。また、爆弾を用いたテロ行為やナチスによる自作自演といった陰謀論も根強い。
【ストーリー】
ツェッペリン社の設計技師であるマーテン・クルーガーが、グライダーを楽しんでいる途中で事故に遭い、湖へと墜落する。そんなマーテンを救助したのがアメリカの石油会社の社長令嬢のジェニファーだった。彼女に一目惚れしたマーテンは、その後思わぬ再会を果たすが、彼女にはフリッツという婚約者の存在があった。フリッツの存在を胸の横に置きつつもジェニファーと親しくするようになったマーテン。そんな折、ジェニファーの父のエドワードが倒れ、急遽母親のヘレンとともにアメリカへと帰国することになった。
彼女が乗るのは、マーテンも設計に関わったヒンデンブルグ号だった。悲嘆に暮れるマーテンに、上司からある指示が下る。それはジェニファーと母親を搭乗させないようにしろというものだった。急ぎジェニファーたちの元に向かおうとしたマーテンの前にフリッツが立ちはだかり、その混乱の中でマーテンはフリッツを殺害してしまう。犯罪者となってしまいながらもヒンデンブルグ号に乗り込んだマーテンは、そこで恐るべき陰謀が実行に移されようとしていることを知る。ヒンデンブルグ号でジェニファーと再会したマーテンは、ヒンデンブルグ号を、何よりも愛する彼女を救うため、この恐るべき陰謀に立ち向かう。
【感想】
20世紀を揺るがした重大事故の一つに数えられるヒンデンブルグ号事故をベースにしたサスペンス作品。現存する資料を当たり、できるだけ忠実に再現したというヒンデンブルグ号は、本作の見どころの一つとなっている。もともと180分のドラマを110分に編集したためか、全体的に緊張感が薄い作品となっているが、爆発のシーンなどは迫力もあり、サスペンスとしても、パニックムービーとしても、相応の水準の作品となっていると感じる。