ポンペイ(2014年)
DATE
Pompeii/アメリカ
監督 : ポール・W・S・アンダーソン
<主なキャスト>
マイロ : キット・ハリントン
カッシア : エミリー・ブラウニング
アウレリア : キャリー=アン・モス
アティカス : アドウェール・アキノエ=アグバエ
アリアドネ : ジェシカ・ルーカス
セヴェルス : ジャレッド・ハリス
コルヴス : キーファー・サザーランド
……etc
【作品解説】
日本では2014年6月に公開されたアメリカ映画。西暦79年に実際に起こったヴェスヴィオ火山の噴火とそれに伴う古代都市ポンペイの消滅を背景に、奴隷の剣闘士と裕福な商人の娘との身分を超えた愛を描く、アクション映画である。
【古代都市ポンペイの滅亡(79年)】
古代ローマ時代にナポリの近郊にあった古代都市ポンペイ。ポンペイは港に届いたローマへの荷物を近くのアッピア街道に運ぶための拠点として栄え、最盛期の人口は2万人程度いたとされている。しかし、79年8月24日の午後、ヴェスヴィオ火山が噴火。約12時間後の噴火末期に起こった火砕流、それにともない発生した有毒ガスによって逃げ遅れたり何らかの理由によって街に残っていた住民2千人が犠牲となった。
火砕流堆積物によって、ポンペイはにヘルクラネウムなどのいくつかの街と共に、わずかな時間で完全に土中に埋まってしまった。18世紀になり発掘が始まり、火山灰の中に完全に埋まっていた結果、色彩豊かな壁画であったり、当時の街並みがそのまま発掘されたりして、当時の美術品や街の作り、市民の生活など、なにより当時のローマ帝国の繁栄ぶりなどを知る貴重な資料になっている。また、一瞬にして待ち一つが消えてしまうという悲劇から、多くの映画、小説などの題材となっている。
【ストーリー】
ローマ人によって一族を皆殺しにされ、ローマの奴隷となった騎馬民族のマイロ。彼はローマへの怒りを胸に最強の剣闘士へと成長していた。ポンペイへと運ばれる途中で、ポンペイの有力者の娘カッシアの馬が負傷しているのに遭遇する。馬に止めを刺したマイロを野蛮人だとカッシアの従者たちは言い合うが、カッシアは馬を苦痛から救うための措置だったことを見抜き、好意をもたれるようになる。カッシアはローマにいた頃元老院議員のコルブスに言い寄られており、それを嫌がってポンペイへと戻ってきていたのだが、コルブスもローマからの使者としてポンペイに赴いていた。商人であるカッシアへの父親に便宜を図る代わりにとカッシアに言い寄るコルブス。
宴会の席でマイロとカッシアは思わぬ再会を果たす。そこでカッシアはマイロに馬が落ち着かないから見てほしいと頼む。そのことがきっかけで起きた事件によりマイロはコルブスに目をつけられる。度重なる地震にポンペイ市民は不安を感じていた。コルブスはカッシアを監禁し、マイロを殺害しようと企てる。翌日、ポンペイの闘技場で戦いが始まるが、そこでローマ人の卑劣さを思い知ることになる。しかし、戦いの最中、ヴェスヴィオ火山の大噴火が始まり、闘技場は倒壊する。噴石が降り注ぐ中、果たしてマイロはカッシアを救い出し、滅び行くポンペイの町から逃げ延びることが出来るのか。
【感想】
ヴェスヴィオ火山の大噴火、滅び行くポンペイの街の最期は素晴らしい映像だった。しかし、何故ポンペイという素材を料理するのに剣闘士だったのだろうかと首を傾げた。もちろん、派手な格闘場面を入れたいとか、古代ローマの市井の人たちを描いてもハリウッドでは出資が募れないとか理由はあったのかもしれないが。しかし、製作陣の中にローマ=侵略、奴隷、剣闘士といった画一的なイメージしかなかったのではないか? という穿った見方をしてしまう。